紫風日記📔弥生十五日
五十路もそろそろ二丁目から三丁目にかかろうかというこの歳になって、「詰め放題」なるものを"初体験"した。
「詰め放題」とは言っても、一昔前のバーゲンセールよろしくアドレナリンをバチバチ放出しながら鬼気迫るオバさん方がソーセージだの、魚の切り身だのを袋に入るだけ詰め込むアレとは少々趣が違う。
私が袋に詰めてきたのはスケッチブックで有名なマルマン製のポケットサイズルーズリーフ。
よって舞台はスーパーの食品売り場ではなく大手文具店の店内で、時間的なこともあったのだろうけれど、昔のゾンビ映画みたいなオバさん方に揉みくちゃにされる恐怖はなく、時折通りかかる他の客に不思議そうに見られながら、地味に一人で10種類ほどあるルーズリーフの中からじっくり選んで詰めることができた。
沢山詰めた方がお得なのはわかっちゃいるけど、あまりにもパンパンに詰めると店員に「ここまで詰めるかね?!」と卑しく思われるのも何だし…と、自分の欲望と理性のせめぎ合いの中、ほどほどに詰め込んでレジに向かった。
あぁ、こういう時はオバさん方の強心臓と厚顔が羨ましい…。
でも、普通ならば一種類が200円から400円するものを、真に自分が欲しい分量だけ選ぶことができて440円なのだから実にお得である。
1パック100枚も要らない時に仕方なくパック単位で買う必要が無いのだから、フードロスならぬペーパーロス防止に効果的なイベントだと思った。
レジで精算後、初めてのおつかいを終えた幼児の如く半ば興奮気味に、でも表情は妙に硬いままという実にアンバランスな状態で「人生初の詰め放題イベント」を完遂し、お店を後にしたのであった。
戦利品のミニサイズルーズリーフ
左上は専用バインダー(黒)
🖊️初体験記念に帰りに寄った寿司屋の客を描いてみた (書・イラスト:紫風晄禎)
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