紫風日記📔如月四日
能登半島の輪島には子供の頃、母に連れられ旅行で行ったことがある。
特急「雷鳥」に乗れたのが嬉しくて、興奮気味に旅館に着いたのは良かったが、大広間における夕膳時に「御陣乗太鼓」なる出し物が披露された。
これは昔、上杉謙信の軍勢が輪島の名舟という所に攻め込んだ時に、鬼や亡霊の面に海藻の髪を振り乱しながら太鼓を打ち鳴らす奇襲を仕掛け、上杉軍を追い払ったとされ、その故事が今日まで祭りの行事として伝えられ、県指定の無形民俗文化財に指定されているというもの。
しかしまだ子供の私には、そんな由緒ある出し物とは知る由もなく、鬼やお化けの面を被った者が太鼓を叩いていることがとにかく怖くて怖くて、小さなお膳の下に隠れてずっと震えながら泣いていた。
でも考えてみたら、勇猛果敢な上杉謙信の軍勢がビビるくらいだから、怖くて当然といえば当然。
それにしても、あんなにまだ幼い子供を怖がらせて泣かせるとは、鬼かお前は!…って、あ、ほんまに鬼か…。
まぁ、そんな事も今となっては笑い話で、ある意味で思い出深い(?)けど、そんな輪島が大地震に見舞われてしまい、一ヶ月が経った。
本当なら現地で復興に向けたお手伝いでもすればいいのだろうけれど、まだまだ混乱状態が続く中で却って邪魔をするようでは本末転倒だ。
だからといって「寄付金」は本当に必要とする被災者個人の元へ届かないおそれが多分にある。
私はマスメディアを利用した悪人の財布を温めたり、政治家のパーティー代を支払うつもりは毛頭無い。
そう、最早この世の中は「愛は地球を救わない」ことが某テレビ局が証明している。
そこで私はひとまず「如月の書」で記した「春隣」という言葉を、激励として心の中で能登の方々に贈ることにする。
「春隣」
書:紫風晄禎
昨日(2月3日)の「節分」は、立春の前日にあたり、今日から暦の上では「春」なのだが、実際には寒さが底の時期。
そこで昔の人々は、「春隣」(春はもうすぐそこまで来ているよ)という言葉で、寒さで折れそうな心を支えていたのである。
「寒いけど、辛いけど、春はもうすぐそばまで来ています。何とか耐え忍んでください…。」
今後さらに道路などの復旧が進み、現地にお邪魔しても大丈夫になったら、輪島の地元のお店で是非ともお椀など買わせていただき、復興への微力の一になれればと思っている。
「節分 2024」
書・イラスト:紫風晄禎
【使用筆記具・画材】
『春隣』
📃朱陽堂「色紙箋」
(元は白色ですが、私が薄桜色に染色しました。)
🖋️筆:一休園「見真」
🖋️墨:墨運堂「墨精」
『節分 2024』
📓ターレンスartcreation sketchbook
🖋️ぺんてる筆ペン中字、うす墨、Art brush、金の穂
🖋️呉竹ZIG CLEAN COLOR Real Brush
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